9月6日。朝7時。渋谷駅近くに集合。
明日の荒井寿彦ライブのため、広島に向かう。
今回は考えた末、クルマで遥々広島へ。
クルマは「所属」の関係で、万が一何かがあったときのことを考え、荒井さんひとりで運転することに。
なんと片道679キロメートルの旅路スタート。
メンバーは、荒井寿彦(キヨさん)、ギターの稲留春雄(トメちゃん)と私(メイシコ)。
どうやら天気はずっと雨模様。
キヨさんは自動車雑誌の編集者。だから運転もものすごく上手い。
なんと12時には宝塚北サービスエリアに到着。どうかしている(笑)。
広いショップモールで、キヨさんは親子丼、トメちゃんは海鮮丼、私はハンバーグシチュー。
それぞれの三人。
ここは神戸。まもなく山陽道と明石大橋へ分岐する。「四国観たいなあ、なんちゃって」とつぶやくと、
ハンドルは左へ。そして明石大橋を渡って四国へ。
クルマは自由。ひとりでどこでもいける。そして誰かと一緒だとよけいに楽しい。
クルマを手放してしまった後悔。いつか必ず。
淡路島に上陸。対岸の本州をおだやかな気持ちで眺め、今度はうずしおを観に徳島へ。
東京を出てからいったい何県を通過してきたことだろう。
幸い強い雨にはならないが、降り続く。
徳島の鳴門公園到着。名物鳴門のうずしおを真上から観られるように作られた渦の道。
橋脚の下に作られた長い長い通路は、柵で覆われているとはいえ、外気はそのまま入ってくる。
この日は時ならぬ強風。通路は揺れるのなんのって。
高所ニガテはキヨさんと私は、へっぴり腰で決死の覚悟で歩く。うずしおを見るどころの話ではない。
途中くじけそうになりながらも、颯爽と歩くトメちゃんに牽引され、なんとか往復完走。
ああ死ぬかと思った。
その後、四国を横断する形で、今度は今治へ向かう。そしてしまなみ街道から本州へ。
「しまなみ街道を見てみたかった。いつか走ってみたいなあ。」自転車が趣味のトメちゃんがつぶやいたら…
実現しちゃったね。
呉へ上陸したら、途中、山陽道が広島まで一部通行止め。雨足はますます強く。
下道かと観念しかけたところに、開通のしらせ。すっ飛ばして無事午後8時、宿泊先のホテルに到着。
空路で広島入りしていたキーボードのchamyさんと合流。4人で近くの居酒屋で呑み夕食。
明日は、仕事で広島入りしているサックスのMilleniaと、
そして学会で名古屋から広島入りしたドラムのゴー君もあわせ全員集合。
9月7日(土)雨。
今日もやはり雨。朝少しだけホテルの近くを散策した後、原爆資料館へ。
本館が改修中ではあったが、やはりこの場所の意味は大きい。とても大きい。
たくさんの異国の観光客が、展示物の前で佇み、涙を流す。
そう、知ってほしい。だからこそ来てくれてありがとう。忘れないでほしい。
偶然、ライブハウス集合だったはずのドラムのゴー君と館内でバッタリ。
23歳。原爆資料館は初めての若者の目にどう映っただろう。
どうか齢を重ねて、また来てほしい。忘れないでほしい。
ライブは、地元の方々の多大な尽力でたくさんのお客様の動員がなされ、
温かい雰囲気に満ちた幸せな時間だった。
仕事をしながら、これだけ音楽を愛し取り組んでいる気持ちはかけがえない。
打ち上げでは、東京組、地元組入り乱れ、楽しい交流のひとときとなった。
ありがとう、ありがとうございました。また逢いましょう。
9月8日(日)大雨。
朝一で原爆ドームに行く。早朝の原爆ドームは人影もまばら。
異国の男性がひとり佇み祈っている。ありがとう。
広島は、長崎は、日本にとって、世界にとって、人類にとって特別な場所。
山陽道がまたしても不通。ナビをたよりに道を探しながら田舎道を行く。
オトコふたり力をあわせて。
途中、台風で大被害に遭った地区を通る。山肌が露わになり、たくさんの土嚢が積まれたまま。
通行禁止の看板が大雨に打たれている。
これほどの被害とは思わなかった。この目で見るまでは所詮他人事なのね、と自分を恥じる。
その後は順調に進み、遅いお昼を再び宝塚北サービスエリアで。
ようやく富士山が見えてきたのは、夕暮れ迫る頃。
西(九州)出身の自分が、今や富士山を見てほっとする。時の流れに身を任せだ。
東名の厚木~町田エリアの渋滞は、渋谷行きのバスとの競争ごっこをしながら乗り切る。
疲れているだろうに、最後までいつも明るく、キヨさんはすごい。
そして、夜の首都高を走り、新宿で解散。
長い道中、過ぎ去った家族の思い出、今の自分のこと、これからのこと。
深く思いを馳せることはなかったけれど、移りゆく車窓の風景は二度と戻らないように、
日々このときを自然に生きて行こうと思った。
運転してくれたキヨさん、本当にありがとう。
トメちゃん、ゆっくり時を過ごせてありがとう。写真もね!
全部の写真:稲留春雄
AREIA(アレイア)はポルトガル語で砂の意味です。
どこまでも続く砂浜のように、個であり、和であり、心地よく、時に潔く歩いて行きたい…と願っています。