旅日記 東京から四国を通って広島へ。20180906-0908

9月6日。朝7時。渋谷駅近くに集合。
明日の荒井寿彦ライブのため、広島に向かう。
今回は考えた末、クルマで遥々広島へ。
クルマは「所属」の関係で、万が一何かがあったときのことを考え、荒井さんひとりで運転することに。
なんと片道679キロメートルの旅路スタート。
メンバーは、荒井寿彦(キヨさん)、ギターの稲留春雄(トメちゃん)と私(メイシコ)。
どうやら天気はずっと雨模様。

キヨさんは自動車雑誌の編集者。だから運転もものすごく上手い。
なんと12時には宝塚北サービスエリアに到着。どうかしている(笑)。
広いショップモールで、キヨさんは親子丼、トメちゃんは海鮮丼、私はハンバーグシチュー。
それぞれの三人。

ここは神戸。まもなく山陽道と明石大橋へ分岐する。「四国観たいなあ、なんちゃって」とつぶやくと、
ハンドルは左へ。そして明石大橋を渡って四国へ。
クルマは自由。ひとりでどこでもいける。そして誰かと一緒だとよけいに楽しい。
クルマを手放してしまった後悔。いつか必ず。

淡路島に上陸。対岸の本州をおだやかな気持ちで眺め、今度はうずしおを観に徳島へ。
東京を出てからいったい何県を通過してきたことだろう。
幸い強い雨にはならないが、降り続く。
徳島の鳴門公園到着。名物鳴門のうずしおを真上から観られるように作られた渦の道。
橋脚の下に作られた長い長い通路は、柵で覆われているとはいえ、外気はそのまま入ってくる。
この日は時ならぬ強風。通路は揺れるのなんのって。
高所ニガテはキヨさんと私は、へっぴり腰で決死の覚悟で歩く。うずしおを見るどころの話ではない。
途中くじけそうになりながらも、颯爽と歩くトメちゃんに牽引され、なんとか往復完走。
ああ死ぬかと思った。

その後、四国を横断する形で、今度は今治へ向かう。そしてしまなみ街道から本州へ。
「しまなみ街道を見てみたかった。いつか走ってみたいなあ。」自転車が趣味のトメちゃんがつぶやいたら…
実現しちゃったね。

呉へ上陸したら、途中、山陽道が広島まで一部通行止め。雨足はますます強く。
下道かと観念しかけたところに、開通のしらせ。すっ飛ばして無事午後8時、宿泊先のホテルに到着。
空路で広島入りしていたキーボードのchamyさんと合流。4人で近くの居酒屋で呑み夕食。
明日は、仕事で広島入りしているサックスのMilleniaと、
そして学会で名古屋から広島入りしたドラムのゴー君もあわせ全員集合。

9月7日(土)雨。
今日もやはり雨。朝少しだけホテルの近くを散策した後、原爆資料館へ。
本館が改修中ではあったが、やはりこの場所の意味は大きい。とても大きい。
たくさんの異国の観光客が、展示物の前で佇み、涙を流す。
そう、知ってほしい。だからこそ来てくれてありがとう。忘れないでほしい。
偶然、ライブハウス集合だったはずのドラムのゴー君と館内でバッタリ。
23歳。原爆資料館は初めての若者の目にどう映っただろう。
どうか齢を重ねて、また来てほしい。忘れないでほしい。

ライブは、地元の方々の多大な尽力でたくさんのお客様の動員がなされ、
温かい雰囲気に満ちた幸せな時間だった。
仕事をしながら、これだけ音楽を愛し取り組んでいる気持ちはかけがえない。
打ち上げでは、東京組、地元組入り乱れ、楽しい交流のひとときとなった。
ありがとう、ありがとうございました。また逢いましょう。

9月8日(日)大雨。
朝一で原爆ドームに行く。早朝の原爆ドームは人影もまばら。
異国の男性がひとり佇み祈っている。ありがとう。
広島は、長崎は、日本にとって、世界にとって、人類にとって特別な場所。

山陽道がまたしても不通。ナビをたよりに道を探しながら田舎道を行く。
オトコふたり力をあわせて。
途中、台風で大被害に遭った地区を通る。山肌が露わになり、たくさんの土嚢が積まれたまま。
通行禁止の看板が大雨に打たれている。
これほどの被害とは思わなかった。この目で見るまでは所詮他人事なのね、と自分を恥じる。

その後は順調に進み、遅いお昼を再び宝塚北サービスエリアで。
ようやく富士山が見えてきたのは、夕暮れ迫る頃。
西(九州)出身の自分が、今や富士山を見てほっとする。時の流れに身を任せだ。
東名の厚木~町田エリアの渋滞は、渋谷行きのバスとの競争ごっこをしながら乗り切る。
疲れているだろうに、最後までいつも明るく、キヨさんはすごい。
そして、夜の首都高を走り、新宿で解散。

長い道中、過ぎ去った家族の思い出、今の自分のこと、これからのこと。
深く思いを馳せることはなかったけれど、移りゆく車窓の風景は二度と戻らないように、
日々このときを自然に生きて行こうと思った。

運転してくれたキヨさん、本当にありがとう。
トメちゃん、ゆっくり時を過ごせてありがとう。写真もね!

全部の写真:稲留春雄

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