Maysicoが綴り続けるブログ「今夜も力うどん」コールユーブンゲン

2006/11/30

昨今は子供の数が減った分、
ひとりひとりへの思い入れが強い時代なんだろうな。
そのわりには、わが子を手にかける事件があまりにも多いけれど。
浅田真央ちゃんもそうだが、
JAZZ界はあと数年すると、そんな英才教育を受けた若き天才でいっぱいになることだろう。
特にアルトサックスは、優れすぎた女子で溢れかえることだろう。
どう逆立ちしてもこの天才ってやつにはかなわない。
いったい私はあと何年仕事させてもらえるのだろうか!!

さて、子供の頃私もピアノを習っていた。
先にも書いたとおり体育会系少女だった私は、せっかくのピアノを途中で放り出し、
運動に走ってしまったが、今となっては、”それでも習っておいてよかった”と
”ああ、もっとやっておくのだった”という気持ち半々。
はっきり言って私にはピアノの才能はなかったと断言してよい。
耳も特別いいほうでなかったから、聴音の成績もよくなかった。
今も耳はごく普通。
二人姉妹の妹である私は、どこの家庭でもあるように
姉を追随するようにピアノを習いに行っていたため、
先生は、優秀な姉の妹である私にはじめは期待していたと思う。
でも、案外才能がない・・・
そこで困った?先生は、私にムリヤリ別の可能性を見出してくれたのだった。

「ソルフェージュ」という音楽教育の古典教本を知ってます?
ピアノなどを習うとこの教本を持たされて、正しい音程で歌ったり、
リズムがややこしい譜面を初見で正しく歌うとかいう訓練をします。
私はなぜかこれが大好きで、スルスルと進んでしまい、
その次に「コールユーブンゲン」という本に到達。
この本は”ソルフェ”よりかなり高度で、
特にシンコペーションという・・・アクセントの位置が主に裏拍に移動する・・・
ほら、ジャズに特有のウラノリ、あれです・・・
そのシンコペーションのメロディがいやになるくらい書いてあるのだ。
一応小学生だった(4年生くらい??)ので、
最初は苦労したが、あまりにも先生が毎回課題を出すので、
やっているうちに複雑なリズムも、音程もイッパツで
かなり正確に歌えるようになったのだ。
毎週、毎週・・・
しまいには、イタリア歌曲ナントカとか「ナニこれ?」っていうようなものにまで
及んだ。
先生はもしかしたら私を声楽方面に進ませたかったのかもしれないが、
どう考えても私の声はウタ向きじゃなかった。

元々、私はのどが弱い。子供の頃は扁桃腺ばかりやっていた。
声帯が細いから、歌声にきれいにビブラートはかかにくい、ユーミンさん系の声。
サックスのビブラートもかかりにくくて人一倍苦労した。
ところが、サックスが少しずつうまくなるにつれて、
のどのトラブルもほとんどゼロ。
おかげで風邪もひかないし、大声でがなってものどを潰さなくなった。

英才教育の話に戻って。
私の場合、英才でもなんでもなくたまたまの経験だったが
このコールユーブンゲンのおかげで
後年ジャズに取り組むことになった私は、シンコペーションで苦労をしたことが
ほとんどない。
あるレベルに達すれば、耳がいい人なんて星の数ほどいるんだ、という実感も経験したが、やはりこの訓練のおかげで私は今もアタマに思い描いたメロディを
かなり正確なキーや音程で歌え、それをサックスで吹ける。
だから、ウタはうまくないが、インチキスキャットは我ながらウマイと思う。
もともと絶対音感があるような音楽人間の構造はしていないが、
子供の頃訓練して身についたものは、一生その人の能力の一部として活躍する、
そう思う。

最近まで、そんなに音楽を教えちゃっていいのかなあ、なんて正直思っていたし
今もやっぱりそう思う。
でも、理屈ぬきに身に付ける訓練はやはり貴重なものなのだね。

もし生まれ変わったら、はないが、
今度は天才サックス少女と言われてみたいもんだ。

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